坂戸パソボラ見聞録

パソコン修得し活動の充実を

埼玉新聞1998年12月18日(金)より

パソコンの技術を修得して自分たちのボランティア活動を充実させたい−。

普段は手話・点訳・家事援助などさまざまな分野で高齢者や障害者の ボランティア活動を行うグループのメンバーたちの願いをきっかけとして、 坂戸市でパソコン講習会が開かれた。

グループの間では会報の作成や障害者とのコミュニケーションなど、 今後の活動を展開する上でパソコン技術を修得したいというニーズが高まっていた。

そこで、坂戸市社会福祉協議会でボランティアの指導者を募集したところ、 普段仕事でパソコンを使っている現役のサラリーマンなど十一人が集まった。

講習会の開催にあたっては、数回の会議を重ねるとともにEメールで情報を交換し合い、 初めてパソコンを扱うという受講生のレベルに合わせた独自のテキストを作成した。

こうして行われた手づくりの講習会では、受講生から「とても分かりやすかった」と好評を得た。


今回、ボランティアの講師として参加した坂戸市在住の岩渕正樹さん(コンピューター関係会社勤務)は、 すでに全国的な組織で障害者のパソコンボランティアの活動を行っている。

坂戸市の「パソコンボランティア募集」の広報記事に目を止めた岩渕さんは 「地元で活動しなければウソになると思った」という。

「パソコンは身近なところに聞ける人がいないと困るもの。 自分の住む地域の人のためになればと思い応募した。

われわれは日ごろ仕事で何気なく使っているパソコンがこのようなボランティア活動に結び付くことに あらためて気付かされた。

そして同じ市内に住みながら今まで全く知らなかった人たちと知り合うことができたのが何より良かった」 と話す。

岩渕さんたちのメンバーは、講習会終了後も電話や出前相談などで受講生のフォローアップも行うという。 講習会の開催をきっかけとして、坂戸市内の障害者施設でのパソコンに関する相談も受けるようになった。 メンバーの活動の幅は今後も広がりを見せそうだ。


在宅で生活する障害者の社会参加とコミュニケーションの手段として注目されているパソコン。 福祉・ボランティアの領域における使い道は今後ますます広がっていくと思われる。

その活動をサポートするパソコンボランティアは、 今まで参加が少なかったといわれてきた現役サラリーマンの大きな活動の場といえそうだ。

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